どんな仕事もそうだといえるが、優しさや親切心だけで業務をやれることは少ないといえる。医療系の職業では、もちろん人一倍の優しさや親切さを持つ人が多い印象だが、それ以外にも豊富な知識や冷静な判断と素早い対応、そして、意思疎通の難しい患者などのために観察力も大切とされている。

医療の仕事が向いている人には、優しい心とともに面倒見のよさが備わっている場合も多い。患者や被介護者は、病名は同じとはいえ、ひとりひとりの性格、身長体重や体質などから、ケアの方法も異なってくる。「あの人にはこうしてあげたらいいのではないか」「あの人にはこのケア方法があうのではないか」といったことを常に考え、新しい情報収集を欠かさず、カンファレンスなどでアイデアを出すことができる人は重宝される。

このようなアイデアには、柔軟な考え方の他にもやはり豊富な経験が必要なため、毎日まじめに、コツコツと仕事をする人でないと続かないだろう。そして常に問題意識を持ち、もっと職場の雰囲気をよくできるのではないか、もっと入所者のためになにかできるのではないかと考える向上心も大事になってくる。また、言葉にならない気持ちを察することができるのは、医療系の職業の重要な能力だといえる。そうした察する能力は、経験と知識が無ければ成り立たないものである。時には研修などにでかけ、新しい知識や他の職場の知識を学ぶことも必要になるだろう。

こうしたことを考えても、医療は優しさだけでは務まらないことがわかる。医療に関わる者は、病気を治すための更なる知識を学ぼうとする前向きな姿勢がないと、とても務まるものではないのである。